なんちゃって課長日記

社会的入院中の妹を持つきょうだい爺の生活とその周辺

バイトへの道すがら、日本橋の駅から地上に上がり堺筋を徒歩で北上する。5メートル程歩いたところで、風に吹かれて後ろから足下に五千円札がひらひらと舞い込んできた。
拾い上げて後ろを振り返ると、こっちに向かって歩いてくる女性が一人。『お金、落としませんでしたか?』『いえ、違いますよ』。少し戻ったところで自転車の荷台に荷物を括り付けてる女性がいた。この女性でもなかった。周囲にそれらしい人はいない。俺はお札をポケットに入れて歩き始めた。バイト先のビルのエレベータホールでお札を自分の財布に入れた。

不思議と罪悪感は無かった。ただ、罪の意識を感じない事に自己嫌悪した。