なんちゃって課長日記

社会的入院中の妹を持つきょうだい爺の生活とその周辺

おとうと (2010,日本)


MOVIX八尾、スクリーン1で鑑賞。
年間ベスト候補作品です。
キムラ緑子好演! 彼女の演技の素晴らしさと同時に山田洋次監督のコダワリと云うか愛情的な思い入れがあのワンシーンに詰まっていました。彼女が帰るときのハイヒールを履くカットで0.2秒くらいだけ網タイツの右足踵部分がちょっとだけ破れていて、その細やかな演出と云うか人物描写に驚きました。(ベストシーン、最優秀女優賞の候補とします)
蒼井優はやっぱり天才です。結婚式の控え室で母親(吉永小百合)に挨拶するところや、披露宴に叔父(笑福亭鶴瓶)を見つけた時に見せた、いろんな感情が入りじまった微妙な表情が絶妙です。
吉永小百合大阪弁も良かったです。ふだんは標準語なのに鶴瓶師匠との会話シーンでは徐々に暖かみのある大阪弁になってくるのがいい感じでした。
これまで私は俳優業としての鶴瓶師匠に対して少々辛口になってしまう傾向があったのですが、本作は文句なしです。親類から爪弾きにされ、疎ましがれる寂しい思いを酒とギャンブルで紛らわし身を持ち崩していく悲しさを大きな体と小さな瞳をフルに使って演じています。
認知症になった加藤治子が死んでしまった鶴瓶師匠を思いやるセリフで、彼女も実は理解者の一人だったことが分かり、暗転してエンドロールというラストも良かったです。
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