なんちゃって課長日記

自殺した父、認知症の母、社会的入院中の妹を持つ介護離職者の生活とその周辺

道案内.一期一会.認知症.08:55、八尾市本町2丁目交差点→長井医院、76歳男性

母を乗せたデイの送迎バスを見送って、私は妹の面会へと駅に向かっていた。
しばらく歩いたところでスーツ姿で茶髪で初老の男性が前から歩いて来て、道を尋ねられる。『栄町の長井医院』私はその場所を知らなかったのでiPhoneで調べて地図を見せながら説明するが、どうもその男性はあまり私の説明を聞いておらず、一方的なマシンガントークで自慢話を上機嫌で始めた。酒に酔っているようでもなく、髭が伸びている以外は服装も身だしなみもきちんとしている。そして、手には郵便局からの簡易書留の封筒を握りしめていて、そこには彼の住所と名前があった。
彼をここから一人で行かせていいものかどうか、考えあぐねながら話を聞いてみると、鶴橋で改札に入る前に携帯と現金とキャッシュカードの入ったバッグをどこかに置き忘れて来たらしく、ポケットに小銭があるだけだそうだ。
その話を聞いて、私は人生初の110番通報に踏み切った。
警察官を待つ間、色々と話を聞く。奈良の吉野で生まれたこと、石原裕次郎に憧れて海に出てマグロ漁船に乗っていたこと、別れた奥さんと息子さんは韓国にいること、肋骨を3本折ったこと。
パトカーはなんと25分後に到着した。警察官に事情を説明して彼を保護してもらいお別れする。さようなら元気でね。失くしたバッグが見つかるといいね。

追記、
実は20分経過時点で不安になり再度110番に催促の電話もした。こんなに待たされるならば、徒歩10分弱にある駅前の交番まで連れて行けば良かったと反省する。