エレベータを降りるとガラスの向こうに妹が私を待ってくれているのが見えた。それだけで心がホッとする。
面会室に通され、いつもの支離滅裂妄想トークだが雰囲気としては和やかで目線も合うし受け答えもしっかりしている。でもコーヒーを飲んでしまうと「もう病室に戻るわ」と言って出て行ってしまった。
母親の介護に少し疲れてきている私は安心できる状態と環境でもっと脈絡の無い無意味な会話を妹と続けていたかった。でも妹は私ではなく差し入れを待っていただけだった。そして、妹の存在が私を支えていた事をこの時思い知らされる。
ここには初めて書くが、非現実的でも母が亡くなったら妹を退院させて好きなだけ大暴れしても大声を出しても誰にも迷惑の掛からないような人里離れた場所で二人で暮らそうと思っていた。