なんちゃって課長日記

社会的入院中の妹を持つきょうだい爺の生活とその周辺

認知症.Y子叔母様来訪

10:03、アポなしでY子叔母様が来訪。小雨の中をビニール傘を刺して痛む脚を引き摺りながら彼女は玄関に立っていた。
中に上がってもらい着ていた上着を預かると、何度も洗濯したせいか生地は痛んで薄くなり、プリントされたロゴや模様も色褪せていた。髪は白髪染めをしているのだが、べったりとした海苔の佃煮(ごはんですよ)のような不自然な風合いだった。
実は、数日前にも私が留守の間に来ていたそうで、それでもまた無駄足を踏む事になろうとも事前にアポ取りの電話をしてこないのは、もう自力では電話も掛けられなくなってしまったらしい。
こんな人ではなかった。しかし、私が母の介護で周囲への目が届かなくなっていた間に、彼女もそう言う『お年頃』に入って行ったのだろう。

何かしらお経を写経した紙に母の戒名を写し書き、それを仏壇に入れてくれと言う。私は宗教には関心がないのでそのありがたみは知る由もないが、彼女にとっては何か大切なセレモニーなのだろう。
祖母の指輪を持ち帰りたいというので、祖母の遺品を整理した際に選り分けていた指輪を二つ見せるが、そのどちらも彼女の思っているものではないとの事。

お茶を飲みながら雑談、というか彼女の話を否定せずに傾聴する。

  • Y子叔母様曰く
    • 探している祖母の指輪は大きな水色の石のもの。(私は見た記憶がない)
    • 私(筆者)は今年、2023年中に結婚する。(多分、色んな情報がごちゃ混ぜになっている様子)
    • 私は今、英語で仕事をしている。(テーブル上のモニターで作業中だったPythonコードを開いていたせいかも)
    • F子伯母様が白い布を持ってくる。(よく判らないが、それは彼女にとって嬉しいことらしい)

そして、仏壇に何かしら読経してから帰られる。小雨の中でビニール傘を刺し、脚を引き摺るその後ろ姿を見送る。

大丈夫、大丈夫、Y子叔母様もだいじょうぶ。