なんちゃって課長日記

社会的入院中の妹を持つきょうだい爺の生活とその周辺

母.飲食.カレーライスに添える福神漬けとらっきょうの話

私が物心が付いた頃、同居していた祖母はまだ元気だったので食事は祖母と母が作っていて、カレーライスにはいつも福神漬けが添えられていた。なので、私は子供の頃から福神漬けに慣れ親しんでいたのと同時にらっきょうを食べる機会がないまま大人になった。就職の為に実家を出て上京し、外でカレーライスを食べる機会も増え、初めてらっきょうを試してみた時も食べ慣れていない事もありあまり美味しいとは思わなかった。
私は福神漬けの方が好きだった。

祖母が亡くなって数日後、母がカレーライスを作ってくれたのだが、添えられていたのは福神漬けではなくらっきょうだった。「あれ、珍しいね、今日は福神漬けじゃなくてらっきょうなんだ。。。」私がそう言うと、「お母さんね、昔かららっきょう好きやねん」と母は答えた。そんな話は初めて聞いたので私は驚いた。じゃあ、今までは一体。。。そうか、祖母が福神漬け派だったので、母はこの家に嫁に来てからは、好きだったらっきょうを祖母の手前食べる事が出来なかったのである。約30年間、母は我慢していたのである。
その後、我が家のカレーライスにはらっきょうが添えられるようになり、それは母の認知症のために私が料理をするようになってからも続き、固いものが食べられなくなってからも、荒みじん切りにして母に食べてもらっていた。

多分、同じ理由だと思うのだが、祖母が亡くなった後、新聞も朝日新聞から毎日新聞に変わった。そう言えばまだ私が小学生くらいの時、母から「こんな偏った新聞、読んだらダメ!」と言われて事があったが、私はまだその意味がよく判らなかった。本当に政治的な意味でそう言ったのか、それとも祖母への反発だったのか、今となっては知る由もない。

母が亡くなってから我が家のカレーライスに添えるのは、再び約30年間を時を経て再び福神漬けになった。
私は福神漬けの方が好きである。