なんちゃって課長日記

社会的入院中の妹を持つきょうだい爺の生活とその周辺

赤目四十八瀧心中未遂

赤目四十八瀧心中未遂

自宅、WOWOWで鑑賞。

自分に絶望して食い詰めたあげくに釜ヶ崎から尼崎に流れ着いて、低賃金で劣悪な環境で単純作業の日々、そんな主人公生島。
老人から子供、動物から植物まで自分より弱いものをいじめる、そうしないと押しつぶされそうな危ういバランスの中で生きている登場人物達。
寺島しのぶ演じるヒロインの綾が、心中を持ちかけるシーン「この世の外へ連れてって」は悲しく壊れそうな気持ちがあふれている。
生活感あふれる尼崎とは対照的な赤目四十八瀧での最期のデートでは綾の白いワンピが景色の中に映え、瀧の水音の中に生島の下駄の音が響く。
ラストシーンでコインロッカーから綾のパンツが消えて冷蔵庫に置いてきたはずの新解さん*1が出てくるのは、生島への生きろというメッセージなのだろう。

ちょっとだけ残念だったのは、彫眉を演じる内田裕也の存在感が強すぎること。彼が画面に映っているシーンと映っていないシーンでは緊張感がまるで違ってしまい、作品全体のトーンに監督の演出意図とは異なる影響を与えてしまっている。

http://www.akameworks.com